メタバースの標準化と普及を推進するための取り組み

このセッションでは、メタバース標準化推進連絡会代表および、ITU-T FG metaverseのWG3(アーキテクチャとインフラストラクチャ)議長を務める山本氏が、それぞれでの取り組みについて説明しました。

メタバース標準化推進連絡会は、メタバースに関連する国内のさまざまな標準化団体が集まって情報交換し、メタバースの標準化普及を推進することをめざす団体。国際標準化会議の情報共有や日本からの提案に関する事前検討も行うとのこと。

「参加メンバーととしては、通信事業者や通信機器製造会社、コンテンツ作成事業者、メタバース関連団体、地方自治体や公務員国家公務員のほか、国家公務員などに属するメタバースの標準化に関心のある個人なども想定されています。また、2023年3月から2024年の2月までの1年間限定の組織として活動しており、メタバースの標準化に関するセミナー、ワークショップの開催や、国際標準化団体への提案を行っていくとされています」(山本氏)

具体的な活動状況としては、オンラインですでに4回の会議が開催されいるほか、後述する「ITU-T FG metaverse」への提案内容の議論および提案などが行われているそうです。

ITU-T FG-MVの成果文書では日本の事例も紹介


「ITU-T」は国連の機関である「国際電気通信連合 電気通信標準化部門」のことで、世界規模で電気通信の標準化を目的として「勧告」とよばれる文書を作成しています。

ITU-Tでは、新たな技術分野についてはどこのグループで何を検討するかを検討する場として「フォーカスグループ(FG)」を作り、標準化前段階の議論を実施します。メタバースに関する「ITU-T FG metaverse(FG-MV)」は1年の時限組織。WG1からWG9まで9つのワーキンググループ(WG)があり、それぞれ複数の文書についての作業が行われています。

7月に中国の上海で実施された第2回の会合には世界中から505名が参加し、170件の文書が審議されました。この会合では、最初の成果文書として「Technical Report on Exploring the metaverse : opportunities and challenges」(メタバースの探検に関する技術文書:機会と調整)が承認されました。メタバースの背景や国際標準の役割、メタバースがどのようにSDGsに貢献するかといった内容が記載されているほか、メタバースの事例として日本のバーチャル養父とバーチャル渋谷が紹介されています。

また、会合で提案された文書のうち4件は日本から提案されたもの。審議の結果4件とも承認され、このうち総務省から提案された「メタバースの探検に関する技術文書:機会と調整」については、先述の今回の成果文書1一つ目の成果文書の中に採用されました。

ITU-T FGは1年間の時限組織となっているため、10月と12月の2回の会合を残すのみとなっています。12月の会合で現在作業中の文章の承認を得られるように、各ワーキンググループおよびその文章を担当してるタスクグループでの審議が進められる予定になっているとのこと。

「具体的な審議は中間会合という形でオンラインで実施され、希望があれば簡単に参加いただけます。中間会合に参加されたい方はぜひ、ホームページの方から連絡いただければと思います。また、何か提案をお持ちの方は、メタバース標準化推進連絡会を活用いただければその場でいろいろ提案のお手伝い等もできると考えております」(山本氏)

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