「メタバース山古志」が始まった経緯


山古志DAOにおけるメタバース山古志の始まりについて竹内氏は次のように語ります。

「錦鯉NFTを発行して約1年になりますが、山古志DAOとして世界中から仲間を集める企画は4、5年前から始まっていました。これまでは山古志地域型ファンクラブを作り、まるで山古志村に暮らしているかのような擬似体験ができる仮想空間を模索していたんです。なかなかマッチングできなかったところ、デジタル村民として光二郎氏や各分野に秀でた方々に参入していただきました。デジタル村民の方々は山古志に集まった仲間として、素晴らしいメタバース空間を作り上げてくれています」

金光碧 氏:株式会社bitFlyer(左)
竹内春華 氏:山古志住民会議/Yamakoshi Public Meeting(画面左)
伊藤光二郎 氏:Gugenka 3DCG XRアーティスト(画面右)


メタバース山古志の中心メンバーである光二郎氏は、山古志村の活動に関わるようになったきっかけをこう話します。

「出身地である新潟県の山古志村で、NFTの技術を使って地方創生するおもしろい試みをしていることを知ったのがきっかけです。興味を持って調べたところ『メタバース空間を使ってデジタル村民が集まれる空間づくりをしたい』というビジョンを打ち出していて、自分も携わってみたいと思いました。夢中でメタバース空間を作っていたら、いつの間にかメインで制作に携わるようになっていたんです。今ではデジタル村民を集めてイベントを開催したりもしています」

 

地域に根付く文化の継承とメタバース


錦鯉NFTが、NFTとして初めてグッドデザイン賞を取った時のエピソードを竹内氏はこう語ります。

「メタバース空間で文字や音声でやり取りしてみんなで大喜びしました。実際に山古志村へ行けなくても、メタバース山古志の空間にアクセスすれば現地に行っているような感覚になるんです。業界では『メタバースに人が集まらずに過疎化してしまう』という課題をよく耳にしますが、メタバース山古志は普段から多くの方で賑わっています」

また、文化資産の継承にも貢献していると竹内氏は言います。

「3月11日にリアルで行われる『古志の火まつり』と、メタバース空間でのお祭りを同時並行で行うプロジェクトが進められています。335年続いている祭りなのですが、2023年3月11日が最後の開催となるんです。この話をデジタル村民の方にしたところ、祭りの歴史を残すためにメタバース空間を活用しようという話になり、一生懸命作ってくれています」


この話を聞いた株式会社bitFlyer所属の金光氏は次のように話します。

「古志の火まつりのように無くなってしまうお祭りも、メタバースに行けば体験できる。実際に行きたくてもいけない人も集まれるため、メタバースの活用方法として素晴らしいと思います」

 

メタバースなら離れていても繋がれる


最後に、山古志村として忘れられない出来事を竹内氏が語ってくれました。

「山古志村は19年前に新潟中越地震で壊滅的な被害を受けました。その後、地震が起きた10月23日には毎年追悼式を行っています。昨年の10月23日には、デジタル村民の皆さんからも『一緒に集まりたい』との希望がありました。そこで、山古志村のリアルな追悼会場をメタバース内にも作り、一緒の時を住民みんなで過ごしたんです。リアルとデジタルの山古志村がつながった、そんな1日だったと思います」

実際にデジタル村民として追悼式に参加した金光氏は、当日の様子を次のように語ります。

「メタバースにいる方にも追悼会場が見えるようになっていて、リアルな空間とメタバース空間がシンクロしているような感じがしました。実際に行けない人も想いを共有できる、そんな不思議な体験だったと思います」

金光碧 氏


「光二郎氏だけでなく様々な方が協力してくれたおかげで、山古志にとって大切な10月23日をデジタル村民の方々とも過ごせました。そんなデジタル村民は、現在1040人いらっしゃいます。今後は、メタバース山古志を共に盛り上げてくれる仲間を1万人まで増やすことを目標に取り組んでいきたいです」(竹内氏)

 

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