レポート

XR・メタバース総合展 2026【夏】特別講演レポート②

XR・メタバース総合展2026【夏】特別講演レポート②
失敗で終わらせないXR導入実践論
~社会実装・教育活用・事業化のリアルから学ぶ~

Japan Spatial Forum(Metaverse Japan)は、XR・メタバース総合展 2026【夏】のアドバイザーとして、会期中に実施される特別講演プログラムの企画・監修を行っています。

6月18日(木)に開催された第2セッションでは、「失敗で終わらせないXR導入実践論 ~社会実装・教育活用・事業化のリアルから学ぶ~」をテーマに、XRの社会実装や教育活用、コミュニティ形成、事業化に取り組む実践者が集結。PoC(概念実証)に留まらず、現場への定着や持続的な価値創出につなげるためのポイントについて、多角的な視点から議論が交わされました。

ファシリテーターは、Metaverse Japan共同代表理事であり、XinobiAI株式会社 CEO、一般社団法人Generative AI Japan理事を務める馬渕邦美氏が担当。

登壇者として、
株式会社HIKKY COO/CQO さわえみか氏
株式会社Meta Earth Heroes取締役、一般社団法人The Global Resilience Summit共同代表理事 木村麻子氏
麗澤大学工学部教授、東京大学大学院情報学環特任准教授 小塩篤史氏
株式会社ゆずプラス代表取締役 水瀬ゆず氏
を迎え、XRを単なる先端技術として終わらせず、社会や産業の中で継続的に活用していくための実践知について議論が展開されました。

XR導入に求められる「実装」の視点
セッションでは、XR市場が拡大する一方で、「PoCで終わってしまう」「現場に定着しない」「費用対効果が見えにくい」といった課題が数多く存在している現状を共有。技術そのものの新規性だけではなく、ユーザー体験やコミュニティ形成、運用体制、ビジネスモデルなどを含めた総合的な設計が、XR導入を成功に導く重要な要素であることが確認されました。

コミュニティと社会課題解決が生み出すXRの価値
株式会社HIKKY COO/CQOのさわえみか氏は、世界最大級のメタバースイベント「バーチャルマーケット」の運営を通じて培ってきた知見を紹介。XRを活用する際に重要なのは、技術そのものではなく、「誰に、どのような感情や体験を届けるのか」を起点に設計することだと語りました。ユーザーが楽しみ、自発的に共有したくなる体験を生み出すことこそが、コミュニティや事業の継続につながるという考えが示されました。

また、株式会社Meta Earth Heroes取締役であり、一般社団法人The Global Resilience Summit共同代表理事の木村麻子氏は、人口減少、防災、地域からの人口流出といった社会課題に対するXR活用事例を紹介。観光メタバースや防災教育に加え、子どもたち自身が地域課題を考え、未来のまちをメタバース上で表現し行政へ提案する「未来クリエイター育成プロジェクト」など、地域とデジタル技術をつなぐ取り組みが共有されました。

教育・福祉分野に広がるXR活用
株式会社ゆずプラス代表取締役の水瀬ゆず氏は、福祉・教育分野におけるXR活用事例を紹介。神奈川県の「ひきこもりメタバース社会参加支援事業」や、京都府教育委員会と連携したメタバース部活動など、居場所づくりや新しい学びの場としてのメタバース活用を通じて、XRが人と社会をつなぐ新たなインフラとして機能し始めている現状を示しました。

一方、麗澤大学工学部教授、東京大学大学院情報学環特任准教授の小塩篤史氏は、AIとXRの融合がもたらす新たな可能性について解説。XR空間は単なる体験の場ではなく、人の行動やコミュニケーションを可視化し、AIの学習や新しい知識創出を支える「データ空間」としての役割を担い始めていると指摘しました。
さらに教育現場では、XRを活用したワークショップやプロジェクト型学習を通じて、創造性や協働性など、従来のテストでは測りにくかった能力を可視化する試みも進んでいることが紹介されました。

AIとの融合によって変わるXR開発
後半のディスカッションでは、生成AIやAIエージェントの進化によって、モデリングやシミュレーションなどの制作プロセス自体が大きく変化し始めていることにも言及されました。
AIを創作や設計のパートナーとして活用することで、XR開発のあり方そのものが再構築されつつあり、人間とAIが協働しながら新たな価値を生み出していく時代が到来しているとの見解が共有されました。

「XRありき」ではなく、目的から逆算することの重要性
各登壇者に共通していたのは、「XRありき」で考えるのではなく、「誰に、何を届けるのか」「どの課題を解決するのか」という目的から逆算して体験を設計することの重要性でした。
エンターテインメントから地域創生、教育、福祉、防災まで──。
XRはもはや一過性のブームではなく、社会課題を解決し、人と人、人と地域、そしてAIと空間をつなぐ新しい社会インフラへと進化しつつあります。
PoCで終わらせるのではなく、現場で使われ続ける仕組みを構築することこそが、XRの価値を最大化し、真の社会実装へとつながる。その方向性が、今回のセッションを通じて改めて共有される機会となりました。

社会実装を支えるエコシステム形成へ

Japan Spatial Forum(Metaverse Japan)は、メタバースやXRから始まった空間技術を、AIやロボティクスとの融合、さらには教育や地域社会、産業分野への展開を通じて発展させるため、産業界、研究機関、スタートアップ、クリエイターなど、多様なプレイヤーをつなぐ対話と共創の場づくりを進めています。

今回のセッションで示されたように、XRの価値は技術そのものではなく、社会の中で継続的に活用される仕組みづくりにあります。

Japan Spatial Forum(Metaverse Japan)は、今後も領域を越えた知見の共有と新たな共創機会の創出を通じて、「Spatial × AI × Robotics」が支える次世代の社会実装とエコシステム形成をサポートしていきます。

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