XR・メタバース総合展2026【夏】特別講演レポート①
インダストリアルXRの未来
~XR×AI×ロボティクスが切り拓くフィジカルAI時代~

Japan Spatial Forum(一般社団法人Metaverse Japan)は、XR・メタバース総合展 2026【夏】のアドバイザーとして、会期中に実施される特別講演プログラムの企画・監修を行っています。
6月17日(水)の初日に開催された第1セッションでは、「インダストリアルXRの未来~XR×AI×ロボティクスが切り拓くフィジカルAI時代~」をテーマに、AI、XR、ロボティクスの最前線を牽引する研究者や企業リーダーが集結。身体拡張、空間知能、生成AI、ロボティクスを横断しながら、インダストリアルXRがフィジカルAI時代を支える基盤としてどのように進化していくのか、多角的な視点から議論が交わされました。
ファシリテーターは、Metaverse Japan共同代表理事であり、XinobiAI株式会社 CEO、一般社団法人Generative AI Japan理事を務める馬渕邦美氏が担当。登壇者として、
東京大学 総長特任補佐・先端科学技術研究センター 副所長/教授 稲見昌彦氏
エヌビディア合同会社 エンタープライズ事業担当 バイスプレジデント 井﨑武士氏
H2L Inc. CEO、慶應義塾大学大学院SDM研究科 教授 玉城絵美氏
東京大学生産技術研究所 特任教授 三宅陽一郎氏
を迎え、現実空間とデジタル空間が融合する新たな産業基盤について、多角的な視点から議論が展開されました。
XRがフィジカルAI時代の基盤へ
セッションでは、AIエージェントの進化によって、デジタル空間の知能が現実世界へと広がり始めている現在を「フィジカルAI時代の幕開け」と位置づけ、その中でXRが果たす役割について活発な議論が行われました。
東京大学の稲見昌彦氏は、「むしろXRの時代が再び始まっている」と語り、生成AIの発展によって生まれる新たな可能性と、人間の身体性や空間との相互作用を担うXRの重要性について言及。XRやメタバースは、人間だけでなくAIエージェントが学習する場としても重要な意味を持つと指摘しました。

デジタルツインと世界モデルが支えるフィジカルAI
エヌビディア合同会社の井﨑武士氏は、同社が進めるOmniverseや世界モデル「Cosmos」、ヒューマノイド向け基盤モデル「GR00T」などの取り組みを紹介。
AI、シミュレーション、デジタルツイン、仮想空間を統合することで、人間とロボットが共存する社会に向けたフィジカルAIの基盤が構築されつつあることを示しました。

人間の身体感覚を共有する「ボディシェアリング」
H2L Inc. CEOの玉城絵美氏は、筋肉の動きや力加減など、人間の「固有感覚」をデジタル化するボディシェアリング技術を紹介。
人間の身体データをアバターやロボットへと共有することで、従来取得が難しかった身体性の情報をフィジカルAIの学習に活用できる可能性を示し、人間の技能継承や生活支援への応用について展望を語りました。

ゲームAIから広がる「空間知能」
東京大学生産技術研究所の三宅陽一郎氏は、ゲーム開発の中で培われてきたAI技術をベースに、空間そのものを知能化する「空間AI」の考え方を紹介。
建物や都市がAIによって状況を理解し、ロボットやエージェントが活動しやすい環境を整えることで、スマートビルやスマートシティといった新たな社会基盤の実現につながるとの展望を示しました。

フィジカルAI時代に向けた共通認識
各登壇者の議論を通じて共有されたのは、インダストリアルXRが単なる可視化ツールではなく、人間、AI、ロボットが協調するフィジカルAI時代を支える基盤へと進化しつつあるということでした。
身体拡張、空間知能、デジタルツイン、生成AI、ロボティクスといった領域は、それぞれが独立して発展するのではなく、相互に連携しながら新たな産業基盤を形成し始めています。
XRやメタバースを起点として培われてきた空間技術は、AIやロボティクスとの融合によって新たなフェーズへと進化し、「Spatial × AI × Robotics」が生み出す価値が、製造、建設、物流、保守をはじめとするさまざまな産業領域で広がり始めていることが示されるセッションとなりました。


Spatial × AI × Roboticsが拓く次の産業基盤へ
Japan Spatial Forum(Metaverse Japan)は、メタバースやXRから始まった空間技術を、AIやロボティクスとの融合によってさらに発展させるため、産業界、研究機関、スタートアップ、クリエイターなど、多様なプレイヤーをつなぐ対話と共創の場づくりを進めています。
今回のセッションで示されたように、「Spatial × AI × Robotics」は、現実世界における新たな社会実装を支える重要な基盤となりつつあります。
Japan Spatial Forum(Metaverse Japan)は、こうした技術や産業の垣根を越えた知見の共有と新たな共創機会の創出を通じて、人間、AI、ロボットが共生する未来社会の実現に向けたエコシステム形成を、今後もサポートしていきます。

