レポート

JAPAN SPATIAL FORUM GATHERING 開催レポート

「リアルとバーチャルを再接続する空間体験 ― 日本発・空間テクノロジーの現在地と未来」

一般社団法人Metaverse Japan(Japan Spatial Forum)は、2026年7月3日(金)、代々木公園Be STAGE内「Spot.」にて「JAPAN SPATIAL FORUM GATHERING」を開催しました。

Metaverse Japanは2025年より「Japan Spatial Forum(JSF)」へと進化し、メタバースの普及・啓発を担う団体から、AIと空間技術の社会実装を推進する実践フォーラムへと活動を再構築しました。Think Tank(議論・研究)、Standardization(標準化推進)、Implementation(社会実装支援)、Global Hub(国際連携)の4つの柱を軸に、Spatial・AI・Robotics領域を横断した価値創出と社会課題解決、日本発の空間コンピューティングエコシステムの形成を目指しています。

「JAPAN SPATIAL FORUM GATHERING」は、その理念を体現する定期開催のネットワーキングイベントです。少人数ならではの距離感を活かし、登壇者と参加者、企業・研究機関・クリエイター・自治体など、多様なプレイヤーが分野を超えて交流し、新たな共創を生み出す場として開催しています。

今回のテーマは、「リアルとバーチャルを再接続する空間体験 ― 日本発・空間テクノロジーの現在地と未来」。空間コンピューティングやAIの進化により、リアルとバーチャルの境界が急速に溶け合うなか、日本発の空間テクノロジーがどのように社会実装され、新たな価値を生み出していくのかについて、株式会社HIKKY、株式会社STYLY、そしてJapan Spatial Forum共同代表理事の馬渕邦美氏が、それぞれの実践を交えながら紹介しました。

XR・メタバース総合展を振り返り、Spatial × AIの現在地を共有

イベント冒頭では、Japan Spatial Forum共同代表理事でありXinobi AI共同CEOの馬渕邦美氏より、6月17日から19日に開催された「XR・メタバース総合展2026【夏】」において、Japan Spatial Forumが企画・監修した特別講演の内容を総括しました。

講演では、今年の展示会を通じて見えてきた大きな潮流として、「メタバース」という単独の概念から、「Spatial × AI × Robotics」へと産業全体の重心が移りつつあることを紹介。生成AIの進化によって、AIがデジタル空間だけでなく現実世界で行動する「フィジカルAI」の時代が到来しつつあることや、今後はロボティクスや空間コンピューティングとの融合が社会実装の鍵になると語りました。

また、Japan Spatial Forumが目指すのは単なる技術コミュニティではなく、企業・研究機関・クリエイター・行政が連携し、新しい産業や社会実装を生み出すエコシステムであることを改めて共有しました。

HIKKYが語る「体験設計」から始まるXRの価値

続いて、株式会社HIKKY COO/CQOのさわえみか氏が登壇。

世界最大級のメタバースイベント「バーチャルマーケット」の運営をはじめ、映画・アニメ・IPとのXRコンテンツ制作やリアルイベントなど、多彩なプロジェクトを通じて培った知見を紹介しました。

大手IP作品などとのコラボレーション事例では、リアル空間とバーチャル空間を融合したXR体験や、AIキャラクターとのインタラクション、体験型広告などを紹介。平均10分を超える体験時間やSNSでの高い拡散率など、没入体験が生み出す新たなコミュニケーション価値について語りました。

さわえ氏は、「重要なのは技術ではなく、『誰に、何を届けたいのか』から体験を設計すること」と強調。XRやAIはあくまで手段であり、人の感情や記憶に残る体験をどう設計するかが、これからの空間体験づくりにおいて最も重要であると述べました。

STYLYが描くロケーションベースXRの未来

株式会社STYLY 執行役員の野村つよし氏は、「ロケーションベースXR(Location Based Entertainment:LBE)の現在地と未来」をテーマに講演しました。

STYLYでは、街そのものをキャンバスと捉え、現実空間にデジタルレイヤーを重ねる空間体験プラットフォームを展開しています。スマートフォン、ARグラス、XRデバイスなど複数のデバイスへ同一コンテンツを配信できる基盤を活用し、都市空間を舞台とした新たな体験づくりを推進しています。

講演では、2015年頃から続くXR市場の変遷を振り返りながら、コロナ禍を経てロケーションベースXRがようやく商業フェーズへ入り始めたことを紹介。海外ではアメリカやヨーロッパを中心に常設型施設や大規模XR体験施設が急速に広がる一方、日本はこれから本格的な市場形成を迎える段階にあると分析しました。

また、東京都との「月旅行体験」やリゾート施設での自然体験型XR、鉄道博物館での展示、映画館向けXRコンテンツ、ARグラスを活用した街歩き体験など、多彩な事例を紹介するとともに、「市場が拡大する今だからこそ、質の高い体験を積み重ね、クリエイターや企業が共に育つエコシステムを形成していくことが重要」と語りました。

次世代の空間体験を共創するコミュニティへ

講演終了後にはネットワーキングが行われ、参加者同士が登壇内容をきっかけに活発な意見交換を実施しました。様々な分野からの参加者が交流し、Spatial × AI時代に向けた新たなプロジェクトや連携の可能性について議論が交わされました。

Japan Spatial Forumでは今後も、空間コンピューティング、AI、ロボティクスを横断する知見を共有しながら、多様なプレイヤーがつながるネットワーキングイベントや研究会を継続的に開催し、日本発の空間コンピューティングエコシステムの形成と社会実装を推進していきます。

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