「Next メタバース」はどうなる? Metaverse Japan Summit 2024開催! 当日の様子をご紹介します
「Metaverse Japan Summit 2024」を、9月25日に室町三井ホール&カンファレンスにて開催しました。設立3期目となる今年は「新メタバース宣言」をテーマに多彩なセッションが行われ、約500名以上にご参加いただきました。当日の各セッションの内容をダイジェストでご紹介します。
多彩な観点からメタバースの今後を議論
イベントの幕開けとなるオープニングトークでは、Metaverse Japan 代表理事の馬渕邦美氏が、今回のテーマを「新メタバース」とした背景について次のように話しました。
「生成AIの登場により、テクノロジーの大きな変化が起きています。メタバースの社会実装においても、3DモデルのAI生成やAIエージェントのアバターへの活用などが進んでいくはずです。“メタバースは終わった”といわれることもありますが、実は水面下で非常に大きな技術進化が起きているので、今日はそういった新しい潮流をお届けしていけたらと思います」
長田新子氏は、Metaverse Japanのイベントで出会った人たちが協業して実現したイベント「AIR RACE X」に言及し、「今日もさまざまなセッションがあるので、そういった新しい取り組みにつながり、それをMetaverse Japanとしても支援していけたら」と話しました。
最初のセッションとなる「AIがもたらすメタバースの未来」には、慶應義塾大学教授の宮田裕章氏と、カーネギーメロン大学教授の金出武雄氏が登壇。幻滅期を抜けたといわれるメタバースの現在地や、生成AIとの相乗効果でどのような変化が訪れるのかについて語りました。
「Apple Vision Proが拓く、空間コンピューティングの未来」のセッションでは、東京大学教授の三宅陽一郎氏とVRアーティストのせきぐちあいみ氏が、Vision Proの強みやXRデバイスの未来について熱いトークを繰り広げました。
「教育分野におけるメタバースの応⽤と可能性」では、学校法人角川ドワンゴ学園の佐藤将大氏とクラスター株式会社CEOの加藤直人氏が、メタバースを教育に活用するメリットや今後の可能性について議論を繰り広げました。
続いての「メタバース×自治体 糸島市PJでの取り組み」では、慶應義塾大学特任教授の奥出直人氏とイトシマ株式会社 代表取締役の平野友康氏が、福岡県糸島市が取り組む地方創生やまちづくりの取り組みを紹介。さらに、糸島市副市長の馬場貢氏もビデオメッセージで登壇しました。
「XRで拡張する都市空間〜MIYASHITA PARKが挑戦する新しい体験価値〜」では、三井不動産株式会社の星野瞳氏と株式会社STYLYの渡邊信彦氏が、MIYASHITA PARKで実施したイベントを振り返り、今後のより広い領域での活用の可能性を探りました。
「メタバースとAIエージェントが生み出す新たな経済圏:メタバース・スタートアップの最前線」では、KDDI株式会社の中馬和彦氏と株式会社メタバースクリエイターズCEOの若宮和男氏が、メタバースにおけるクリエイターの重要性や、そのなかでの生成AI活用の可能性についてディスカッションしました。
そしてメインステージの最後には、「JAPAN Metaverse Awards 2024」の受賞作品が発表され、表彰式が行われました。アワードの様子については、別のレポートにて詳しくご紹介しています。
オープンステージでも多彩なセッションを開催
会場内のオープンステージでも、バリエーション豊富なテーマでセッションが開催されました。
「教育×メタバースの未来」には、Metaverse Japan教育ワーキンググループから麗澤大学教授の小塩篤史氏、一般社団法人プレプラ代表理事の水瀬ゆず氏、東京書籍株式会社の東井尊氏、大日本印刷株式会社の宮崎亮氏が登壇。教育現場でメタバースが実際にどのように活用されているのか、どんな課題や可能性があるのかについて議論しました。
「自治体のメタバース活用最新事情①」では、豊田市企画政策部の中村大樹氏と一般社団法人プレプラ代表理事の水瀬ゆず氏が、愛知県豊田市で実施しているメタバース空間での実証実験について紹介しました。
「自治体のメタバース活用最新事情②」には、Metaverse Japan自治体ワーキンググループから三豊市教育委員会の小玉祥平氏、三条市副市長の上田泰成氏、静岡県デジタル戦略局の杉本直也氏が登壇。香川県三豊市が中高生を対象に実施するメタバースでの部活動や、新潟県三条市が取り組む関係人口創出の取り組み、静岡県が進めるデジタルツインプロジェクトを紹介しました。
「Meta Heroes / Meta Osaka が切り拓く!防災・教育の新時代」には、株式会社Meta Osaka代表取締役の毛利英昭氏と株式会社Meta Heroes代表取締役の松石和俊氏が登壇。子ども向けメタバース空間「Meta Osaka」の取り組みや、メタバース空間内での防災教育について紹介しました。
「次世代のマーケティングと体験価値の創造〜MVJマーケティングWGの発足〜」には、Metaverse Japanで新たに発足するマーケティングワーキンググループから、株式会社大丸松坂屋百貨店の岡崎路易氏と株式会社EbuAction代表取締役の野田慶多氏、パナソニックコネクト株式会社の山口有希子氏が登壇。マーケティングにおけるメタバース活用の可能性についてディスカッションしました。
「安心・安全なメタバースの実現に向けて -総務省の取組を中心に-」には、総務省 情報流通行政局の山野哲也氏が登壇。総務省「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」が公開した報告書案の内容を紹介しました。
「都市を舞台とした「まちなかミュージアム」の作り方」では、株式会社STYLYのゴッドスコーピオン氏が、これまでに取り組んできた実空間でのXRを活用したアート展示について紹介しました。
企業ブースではデモやXRデバイスの体験も実施
会場では企業などによるブース出展も行われ、こちらも大いなる賑わいをみせました。
大日本印刷株式会社(DNP)は同社が取り組むXRコミュニケーション「Be Smart Tokyo」の取り組みを紹介するデモを実施。
株式会社STYLYは、参加者がその場で体験できるRXコンテンツの提供や、Apple Vision Proのデモを体験できるコーナーを展開しました。
J.フロント リテイリング株式会社は、大丸松坂屋百貨店がVRChat内で展開するアバターおよび衣装販売のデモを行い、参加者は実際にデバイスを装着してワールドを体験しました。
TOPPANホールディングス株式会社は、同社が展開するショッピングのメタバースショッピングモール「メタパ」のデモを実施。スマホやタブレットに加え、Vision Proでの体験も行いました。
トランスコスモス株式会社は、メタバースとの親和性の高いα世代やZ世代に向けた施策として、FortniteやROBLOX内で実施したイベントやプロジェクトを紹介。
株式会社パスコは、同社がもつ測量技術や、それをメタバースの制作に活用した事例などを紹介しました。
また、メタバース総合展は、10月に開催される展示会について紹介するブースを展開しました。
代表理事の馬淵氏はイベントの締めくくりで、「2022年のMetaverse Japan設立から現在まで、テクノロジーの世界では大きな変化が起きている。今後これがさらに加速していくことは間違いないので、そういった新しい変化もとらえながらMetaverse Japanとして活動していきたい」と展望を語りました。
また、長田氏は、「ずっとやりたいと思っていたMetaverse Japanが皆さんの活動をバックアップする取り組みを、今回アワードという形で実現できたのがよかった」と振り返りました。
さらに、イベント後に行われたアフターパーティーでは、Metaverse Japan会員や参加者同士が情報交換し、盛んな交流が行われました。
各セッションの詳細なレポートは、本サイト内にて順次公開していきます。