メタバースイベントで焼津の魅力をアピール


静岡県の中部に位置し、遠洋漁業基地である焼津漁港を有する焼津市。カツオ・マグロなどをはじめ、シラスや駿河湾でのみ獲れるサクラエビなどの海産物が市の特産品となっています。

ふるさと納税の返礼品ともなっている焼津の特産の知名度を上げるため、さまざまなマーケティング施策に尽力してきた焼津市の青島氏。2022年、PRの場としてメタバース上で開催された「バーチャルマーケット2022winter」に出展しました。ブースでは船上からの「バーチャルマグロ一本釣り」やマグロを自分のアバターでさばける「バーチャルマグロ解体ショー」などを展開し、ライブ感のあるイベントは大好評を博しました。

大河原 あゆみ 氏:VR法人HIKKY PRマーケティングチーフ・法人営業(左)
青島 庸行 氏:焼津市経済部ふるさと納税課長(右)


「バーチャルマーケット」は、アバターをはじめとする3Dアイテムに加え、リアルな商品の売買が可能な世界最大級のVRマーケット。2018年の開始以来、注目度上がり続けているVRイベントです。同イベントを運営するHIKKYの大河原氏は、その魅力を次のように語ります。

「音声によるコミュニケーションをベースに、現実世界で一緒に街を巡っているようなワクワク感が得られます。楽しさプラスECの便利さも享受できるとあって、毎年世界中から100万人以上が来場する大規模な内容となっています」

焼津市の出展は2022年夏に続き2回目だといい、アパレルメーカーのBEAMSや百貨店の大丸松坂屋、さらには銀行など幅広い業界の参加が増えていると続けます。

さらに、自治体としてVRイベントへの出展を決めた経緯について青島氏は、「2021年開催のイベントの様子をYouTubeで見たことがきっかけ。仮想の秋葉原内を動くエヴァンゲリオンや、株価連動を体感できるSMBC日興証券の『VRジェットコースター』がすごく面白く、メタバースと地方創生事業は実は相性がいいんじゃないかと興味を持った」と話します。

しかし実際の参加にあたり、「焼津のブースに人が来るのか」と半信半疑のまま展示の準備に取りかかったのだといいます。

青島 庸行 氏

 

「VR解体ショー」で知名度向上、納税率もアップ


とにかく焼津のブースで足を止めてほしいとの思いから「VR接客」の導入は当初から決めていたそうです。

「ちょっと寄っていって、と皆さんにお声がけするつもりでした」(青山氏)

蓋を開けてみると、多くの人が焼津のブースに立ち寄ってアトラクションを楽しんでくれました。実際に焼津の魅力を知り、ふるさと納税の申請を行う人も増え、青島氏によれば「令和4年度については、年末の時点で昨年の額を上回っている」ということです。

大河原氏は、「『マグロ解体ショー』の横に、納税額の限度額シミュレーターを置いたのが奏功したと思う。納税サイトへの遷移を含め、シンプルに制度がわかりやすい、手続きがしやすいとなれば、ブースで焼津の魅力を知った時点で納税しようと思う=成果率につながりやすい」と分析します。

大河原 あゆみ 氏


ふるさと納税への効果はもちろんのこと、「
『バーチャルマーケット』への出展で「焼津市」の知名度アップに大きく貢献した」と青島氏は力を込めます。

「『マグロ解体ショー』に関しては、コンテンツの面白さだけで海外から独自に取材が入ったほどで、ツイッター事前告知でも8万インプレッションを記録しました。やいづ親善大使の青木詩織さん(SKE48)のVR接客も話題となりました。ここまで焼津に注目が集まったことは本当にうれしいことです」

 

地方創生に向け失敗を恐れずチャレンジしたい


来場者との交流は、地方自治体の課題についても明確にしてくれたと続けます。

「ブースに着てくれた海外の方は、日本といえば『東京』しかご存じない。焼津はおろか、静岡も知らないのです。コンテンツが2次元の表現から3次元の表現にどんどん変わっていく中で、メタバースはこれからさらに発展することは間違いないと思っています。地方自治体こそ積極的に関わって展開を続けていかなければならないのだと認識を新たにしています」

さらに青島氏は「サービスを提供するプラットフォーム、通信環境が整ってきているのだから、焼津市として失敗を恐れずに新たなチャレンジを続けていきたい」と今後の展望を語りました。

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