Web3メタバースとWeb2メタバースの違いは?

最初のテーマは「Web3メタバースとWeb2メタバースの違い」。水野氏は、デバイスに依存するか否かを違いのひとつとして挙げます。

「Web2メタバースは、今でこそPCやモバイルからでも手軽にコンテンツを楽しめるものに変わってきていますが、当初はVR機器を使い、デバイスと一緒に世界に没入していくものでした。一方で、Web3メタバースはPC向けのブラウザベースのコンテンツが多いので、デバイスの制約なくユーザーが利用しやすいこと、コンテンツを制作する側のハードルもそこまで高くないことなどにメリットがあります」

亀井 聡彦 氏:Fracton Ventures株式会社 / Co-Founder(左)
水野 和寛 氏:株式会社Minto 代表取締役(中央)
絢斗 優 氏:BlockchainPROseed/BluechipParty 共同創業者/CryptoArtist(右)

亀井氏は、アソビシステムなどと協働で展開するプロジェクト「メタトーキョー」のプラットフォームとしてDecentralandを選んだ理由をこう話します。

「Web2のVRプラットフォームでユーザーが何か新しいことをやろうとすれば、基本的に運営会社の許可が必要になると思います。Web3メタバースのDecentralandの場合、土地さえ持っていればユーザーがオーナーシップを持って基本的に何でも自由にできます。そのオーナーシップやコラボレーションのような部分が、Web3の本質であり、私たちの目指すものだと考えています」

メタバースに住人はいるのか?

続いての話題はWeb3メタバースの現状について。メタバースに「住人」はいるのかという問いには、両氏とも「住人と呼べる人はまだ少ない」という見解を示します。

「Web2メタバースの場合、その世界にどっぷりはまった“住んでいる”と言えるレベルの人もいますが、Web3メタバースの場合、遊びに来る人はいても住んでいる人はまだいない印象です」(水野氏)

「メタトーキョーではDecentraland内でミートアップを開催していますが、現状ではまだイベントベースで人が集まることが多く、ずっとそこに滞留する人は少ないと感じています。そもそも、クリプトやWeb3に関わる人自体がグローバルニッチなので、“住人”となるとさらに少なくなると思います」(亀井氏)

亀井 聡彦 氏

一方で、メタバースの定義を広げて考えた場合、「メタバースの住人」と言える人はかなりの数になるのではと亀井氏は言います。

「特定のプラットフォームなどではなく、デジタル上のコミュニケーション全般をメタバースと考えるなら、チャットなどを含めたオンラインのコミュニケーションの総時間が1日のなかでリアルな場所で過ごす時間を超えたら、それは“メタバースに住んでいる”と捉えることができるかもしれません」

Web3メタバースにおけるDAOの可能性は?

Web3時代の組織のあり方として期待されるDAOについて水野氏は、「完全にDAO化してしまうと、思い切ったマーケティングをしづらくなる可能性がある」と指摘します。

「たとえば、The Sandboxはまだ完全なDAOの形にはなっていませんが、グッチやスティーブアオキといった著名なブランドやアーチストとコラボレーションしています。もし、完全にDAO化してしまうと、このようなマーケティング施策についても投票制で決めることになり、否決されてしまう可能性があります。今のWeb3メタバースのフェーズで本当に全員の投票でものごとを決められるのかと考えると、難しい部分もあるのかもしれません」

水野 和寛 氏

そして、The Sandboxが正式オープン前にも関わらず一定規模のユーザーを集めている点については、水野氏はそのマーケティング力の高さを評価します。

「メタバース空間で遊ぶためのルールを用意してクリエイターを集める一方で、有名なブランドやIPを誘致することで将来的な期待値をしっかりとコントロールしている。そのバランスの中で着実に開発を進めることで、まだ完成していないものの将来像をイメージしやすくなり、3年後、5年後にメタバースとして成立しているのではという期待値が高まっている印象です」

今後のWeb3メタバースへの期待

最後に、それぞれがWeb3メタバースの今後にかける思いを次のように語りました。

「大きな経済圏が育ち、その中でコストをかけて一気に開発を進められることが現時点でのWeb3の大きな強みだと考えています。Web2メタバースの表現力や技術力をWeb3メタバースがキャッチアップしていくことで、今後数年の間にサービスとして定着していくのではと思っています」(水野氏)

「Web3メタバースとWeb2メタバースの業界は、いずれぶつかる部分が出てくると思うので、その未来を信じつつ、私たちは淡々とWeb3メタバースをを一般の人に触ってもらうことを進めていきたいと思っています。流動性が高く、若い人たちでもある程度の資産を手にする可能性があることがWeb3メタバースのメリット。これらの経済圏とダイレクトに繋がる体験を、若い人を含めていろいろな方にお伝えできたらと思っています」(亀井氏)

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