Web3メタバースの活用方法と今後の課題 

上原氏は、「特別支援学校の子どもたちや入院中の子どもたちにメタバースでとっておきの体験をプレゼントしたいと」いう想いから、『D-SHiPS JOURNEY』のプロジェクトを発足。団体のモチーフである船をテーマにしたNFTを販売しました。

岡山 佳孝 氏:FractonVenture/MetaTokyo(左)
岡部 典孝 氏:JPYC株式会社 代表取締役 / BCCC 理事(中央左)
上原 大祐 氏:特定非営利活動法人D-SHiPS32 船団長(中央右)
藤本 真衣 氏:BlockchainPROseed Founder(右)

コラボレーションしたアーチストの作品が帆の部分に描かれたものと、購入者が所有するNFTや画像、自分で描いた絵などを帆の部分に挿入できるものの2種類を販売。

「今回の取り組みは、NFTを売った収益を、特別支援学校や入院中の子どもたちにメタバース体験を届ける資金にするためのものでした。その印象もあり、NFTを買った人が運用するというより、チャリティとしての要素が強くなってしまったと感じています」

結果的にクラウドファンディングのようになってしまい、NFTとしての価値を十分に届けることができなかったと話す上原氏。社会的課題解決と運用の側面とのバランスを考えて、発信していくことが今後の課題だと言います。

上原 大祐 氏

岡山氏はNFTとメタバース、そして新たな社会の在り方を実現するWeb 3と文化、都市を結びつける『MetaTokyo』というプロジェクトを手がけています。NFT販売の課題について、日本発ジェネラティブアートNFT『Generativemasks』を例にあげて次のように話します。

「このプロジェクトは、国内で流通量が多くチャリティ要素も含まれています。ウクライナ地震のときは、スペシャル版を出してすごく好評でした。そのときに、ファウンダーは『寄付をするというテーマを押しすぎず、プロジェクトに色んな人が関わり続けられるかという設計が大』」と話していました」

そして、Web2とWeb3ではユーザーの課題解決の質が違うので「Web3でサービスを作るときには、金融性をはらんだ状態を作らなければいけない」と言います。

「Web3でサービス提供するためには、金融性を意図的にどれだけ巻き込んでいくかが、2次流通であったりコミュニティを運営するためには大事な要素です。チャリティーという側面がありお金を集めることも素晴らしいが、そのプロジェクトで買った人が中期で楽しめるインセンティブがあったり、あえて2次流通で販売できる仕掛けを作っていったほうがいい」

 

岡山 佳孝 氏

そして、日本初のステーブルコイン『JPYC』を発行・運営する岡部氏は、Web3でコミュニティを拡大させていくために「基本的にはオープンな規格で情報を公開して、その姿勢をプロジェクトとして示していくこと」が大事だと話します。

JYPCもオープンな規格を採用していると話し、「米ドルのステーブルコイン『USDC』とほぼ同じコントラクトで作っている。USDCが動くコードなら少しの変更でJPYCが動くようにしてある」とメリットを語りました。

青ヶ島に移住して、Web3で地方創生をしたい

岡部氏は、DAOやNFTといった新しいものが好きな人と一緒に、伊豆諸島の青ヶ島に移住する計画を立てていると言います。

岡部 典孝 氏(スクリーン)

「青ヶ島の住民は現在160人ほど。これ以上減ってしまうと学校や役場が維持できなくなり、最悪は無人島になってしまう危機が迫っている」と話します。

課題として「人口減、高校がない、仕事がない、住むところがない」を挙げており、それを解決するために、外からいろいろな知識を持ち込んで解決したいと言います。

「青ヶ島には高校がなく、進学で村を出ていくと戻ってくることは少ないために人口が減少しています。今はN校のようなオンラインで受講できる通信制高校もあるので、例えば島にWeb3やNFTの仕事があれば、若い人が出ていくことなく、教育を受けたり仕事を確保したりできるのではないかと考えています。

「青ヶ島はアクセスが困難なこともあり、行きたいけど行けないという人がたくさんいる。その人達にメタバース上で青ヶ島を体験してもらい、ファンを増やしたい。その方々にNFTを買ってもらい、できれば実際に島に足を運んでほしい」と展望を語ります。

現実とバーチャルを融合させたサービスを展開したいと言う岡部氏。「例えばふるさと納税をすると、お礼にNFTをもらえて、NFTを持っているとメタバースが体験できるといったサービスを作っていきたい」と話します。

Web2とメタバースの架け橋ができれば面白い

「メタバースは、素晴らしい想像力と無重力の表現ができる空間」とその魅力を強調する岡山氏。現実の空間ではありえない服などの表現も可能になるといった自由度の高さが魅力ですが、一方で「人をどう集めるか」は課題だと言います。

「イベントのときや、プレゼントをするときしか人が集まらないことも多いですが、人がいない空間はメディアとしての価値が伝わりません。Vtuberやアニメキャラといったトラフィックを持つキャラクターが、メタバース空間を散歩するなどの仕掛けを作って架け橋を作るといった方法も考えられるかもしれません」

メタバースに人が集まることでより面白くなるし、そうすれば今後儲かっていくビジネスになると思う」と期待を寄せる岡山氏。「やる気のある方、IPを持っている方はぜひ挑戦していってほしい」と語りかけました。

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