札幌をハブに道内のネットワークを構築


札幌未来デザイン会議事務局は、札幌市で昨年4月に行われたメタバースをテーマとした勉強会をきっかけに発足しました。勉強会には札幌市の政策企画、まちづくり産業観光振興の各部門スタッフも参加。地域の民間企業主導によるコンソーシアムの集まりです。

桝谷 稔 氏:札幌未来デザイン会議 事務局(左)
曻 宇慶 氏:札幌未来デザイン会議 事務局(右)


桝谷氏は「北海道の各自治体からの物流や人流、商流は札幌をハブに循環している」と道内における札幌の位置づけを説明。札幌をハブに北海道全体を見据えた道内のネットワークを築き、将来的にはDAOのような対等の関係で推進できる形にしていきたいと話します。

「観光客の来訪が多い都市なので、実際に現地を訪れてもらう、現地でお金を使ってもらうことをゴールとする点は変わっていません。VRやメタバースはそのきっかけ・道具として位置づけています。『メタバースですすきのの歓楽街に行き、バーチャルスナックでバーチャルクラブのママと話して面白かったので、リアルな札幌にも行ってみたい』という流れがあってもよいのではないかと考えています。」(桝谷氏)

桝谷 稔 氏

 

札幌雪まつりの中止を受けて実施された「バーチャル雪まつり」


2020年2月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止となった札幌雪まつり。

この中止をきっかけに、翌年2021年2月にコミュニティ札幌のVRコミュニティとしてバーチャル雪まつりを開催しました。曻氏は当時をこう振り返ります。

曻 宇慶 氏


「このときは、バーチャル上に雪像を設置し、アバターで楽しんでもらえる空間を作りました。リアルな雪まつりが中止になったことから多くの方に注目していただき、約1万7000人の来場がありました」

さらに、翌年の2022年には学生主導でバーチャル雪まつりを開催し、4万人を超える方にアクセスを集めました。それに加え、法人としてのバーチャル雪まつりも実施。公式で立てられなかった雪像をバーチャルで再現したり、かまくらの中にグルメを展示するバーチャル物産展を開催したりといった取り組みを行い、こちらは2.7万人の来場があったといいます。

リアル開催された2023年の雪まつりでは、札幌の高校生が雪像を作るスノーオブジェコンテストが開催されましたが、バーチャル雪まつりでは、その雪像をベースにXR技術で拡張する取り組みを行いました。

「実際に模型を作成し3DスキャンしたものをVR会場で展示するVR企画に加え、InstagramのARフィルターを使って街に雪像を表示する動画コンテストも実施しています。札幌を直接訪れることができない人でも全国もしくは世界から参加できるようにしました」(曻氏)

 

雪祭り以外のバーチャルイベントの実施と今後の展望とは


「リアルな部分での事業展開を進めるにあたっては、将来的に下支えとしての基盤の構築も必要」と話す桝谷氏。全国の事例も調べながら整備を進め、基盤に基づいて行政サービスが行われるように整備したり、法的な課題に対するルールやガイドラインを用意していきたいといいます。

将来的な運営方法として、単発イベントや定期イベントの開催、バーチャルスナックなどを通してコミュニティの場を作ることを構想していると話す桝谷氏。

「その周りに関連する人たちが集まり、協業をしながら課金決済を含めた新たなビジネスモデルがWeb3のなかで作られていくことをめざしています」

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