既存データを活用し、3D都市モデルを構築


3D都市モデルのオープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」は、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルのオープンデータ化プロジェクトです。

内山 裕弥 氏:国土交通省 都市局 都市政策課 課長補佐(左)
久保田 夏彦 氏:渋谷未来デザイン コンサルタント(右)


3D化した都市のデータ上には、建物や道路、設備などの情報に加え、行政情報や都市計画、災害リスクといった目に見えない都市情報も重ね合わせることが可能です。

PLATEAUの開発を手がける内山氏は、その特徴に「高品質」「オープンデータ」「構造化」の3点を挙げます。

「全国で同じ品質・規格でデータが提供されているので開発ナレッジの共有がしやすく、完全なオープンデータなので商用利用も含めて誰でも利用可能です。さらに、単なる3DCGではなく地図として構造化されたデータなので、さまざまなシミュレーションに利用できます」

内山 裕弥 氏


続いてPLATEAUの開発について久保田氏より尋ねられた内山氏は次のように答えました。

「PLATEAUは、自治体がもともと持っていたデータ『都市計画基本図』『航空測量成果』『都市計画基礎調査情報等』を用いて作成しています。埋もれていた既存のデータを活用することで、コストを抑えてプロジェクトを進めることができています」

久保田 夏彦 氏

 

コンテストやハッカソンを通じて認知を広める


エンジニアやクリエイターにPLATEAUの認知を広げるための取り組みとして、コミュニティ形成にも力を入れていると内山氏は話します。

「開発者向けイベント『PLATEAU NEXT』では、講師を招いてPLATEAUの使い方の講義を行ったり、ビジネスモデルを提案するコンテストを行ったりしました。また、PLATEAUを用いたアプリのコンテスト『PLATEAU AWARD 2022』も2月下旬に開催します。レベルの高いコンテンツが揃い、PLATEAUを活用できるエンジニアが増えてきていることを感じてます」

このほかに、全国各地を巡るハッカソンなども開催。たとえば、仙台のハッカソンでは、マインクラフトにPLATEAUをインポートして自然災害シミュレーションを行う作品がグランプリを獲得しました。

 

広い層にアプローチし、イノベーション創出につなげる


ハッカソンを実施するにあたっては、国土交通省で独自開発したSDKも提供。これにより、通常は手間のかかるPLATEAUデータのUnityへのインポートが容易になり、開発環境をすばやく構築できます。

その理由を内山氏は次のように語りました。

「オープンデータのプロジェクトは、いかにいろいろな人に使ってもらうかが重要です。もともと建築などの分野に携わっていた人だけでなく、コンテンツやXRなど幅広い層のエンジニアに裾野を広げ、イノベーション創出につなげてきたいと思っています」

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